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実家の片付けは、どこから手をつければいいのか|部屋の順番と、最初の3時間でやること

公開日:2026年8月4日カテゴリ:実家の片付け監修:田中駿一(遺品整理士)
実家の片付けで最初に立ち止まるのは、たいてい「どこから手をつけるか」です。
そして多くの方が、いちばん気になっている場所から開けてしまいます。押し入れの奥、仏間の引き出し、アルバムの箱。ここから始めると、ほぼ確実に一日目で止まります。手が止まる原因は物の量ではなく、最初に開けた場所が「決められない物」で埋まっていることだからです。
順番には答えがあります。①判断が要らない場所から開ける ②広い床を先に作る ③決められない物は「決めない」という置き場所を作る。この記事では、実際に体が動く順番と、最初の3時間で何をするかを具体的にまとめます。

なぜ「どこから」で止まってしまうのか

片付けが進まない家には、共通した始まり方があります。いちばん重たい場所から開けているのです。

押し入れの奥、たんすの引き出し、写真の入った箱、親御さんが大事にしていた棚。気になっているからこそ、最初に確かめたくなります。ところがこれらは、1点ずつ手が止まる物ばかりが入っている場所です。

片付けの速度を決めているのは、物の量ではありません。「1点あたりに何秒迷うか」です。迷う秒数が長い場所から始めると、3時間かけても見た目が何も変わらないという結果になります。見た目が変わらないと、次の日に手をつける気力が続きません。止まる原因は、気力ではなく順番のほうにあります。

「思い出から始めない」が最大のコツ

思い出の品は、片付けの最後に回してよいものです。急いで決める必要がある物ではありませんし、疲れていない頭で見たほうが、よい判断ができます。

最初にやるべきなのは、その逆です。ほとんど迷わずに判断できる物を、大量に動かす。これで床が空き、作業する場所ができ、家全体の見通しが立ちます。

部屋を開ける順番——判断の軽い順に並べる

間取りは家ごとに違いますが、「判断の軽さ」で並べると、どの家でもだいたい同じ順番になります。

順番場所なぜここか
1玄関・廊下・階段置きっぱなしの物が中心で、迷う物がほとんど無い。ここが空くと、以降すべての運び出しが楽になる
2水まわり(浴室・洗面・トイレ)消耗品と古い日用品が大半。判断がほぼ要らないのに、目に見えて減る
3台所量は多いが判断は軽い。ただし食器と鍋で必ず手が止まるので、時間は多めに見る
4物置・納戸・ベランダ「いつか使う」で置かれた物が中心。使われていない年数がはっきり分かるので判断しやすい
5居間・寝室生活の中心だった場所。ここから急に判断が重くなる
6押し入れ・たんす・書類のある場所いちばん重い。最後でよい
7仏間・写真・思い出の品急がない。家族がそろう日まで待ってよい
この順番が効く理由
  • 玄関と廊下が空くと、運び出しの動線ができる。ここが埋まったままだと、奥の部屋の物を出せません
  • 目に見えて減るので、続く。水まわりは半日でまったく違う景色になります
  • 家の全体像がつかめる。1〜4を回るころには、残りにどれくらいかかるかが自分で読めるようになります
  • 重い判断のときには、体が作業に慣れている。いきなり押し入れを開けた日と、まったく違う進み方をします

最初の3時間でやること

初日にすべてを終わらせようとしないでください。初日の目的は、「次に来たとき、すぐ作業を再開できる状態」を作ることです。

  1. 【最初の30分】家じゅうを一周して、写真を撮る。片付ける前に、各部屋を1〜2枚ずつ。あとで家族に説明するときにも、業者の方に相談するときにも、この写真が一番役に立ちます
  2. 【次の30分】箱と袋、養生テープ、油性ペンを用意して、置き場所を1か所決める。玄関に近い部屋が向いています。この「作業の基地」が無いと、道具を探す時間だけで一日が溶けます
  3. 【次の1時間】玄関・廊下・階段を空ける。迷ったら考えず、いったん基地に寄せるだけでかまいません。まず通り道を作ります
  4. 【次の1時間】水まわりを1か所だけ終わらせる。洗面所がおすすめです。「1部屋を完全に終わらせた」という状態を初日に作ると、続き方がまったく変わります
  5. 【最後に】次に来る日を決めて、紙に書いて基地に貼る。日付が決まっていない片付けは、たいてい次がありません
初日に押し入れを開けないでください。中を見たくなるのは自然なことですが、開けた瞬間に床が物で埋まり、その日の作業が終わります。中身の確認は「開ける」ではなく「あとで開ける場所として記録する」だけにとどめ、写真を1枚撮っておけば十分です。

物を4つに分ける——3つではなく4つにする理由

「残す・迷う・手放す」の3つに分ける方法はよく知られています。ところが実際にやってみると、「迷う」の山だけが際限なく大きくなります。

そこで、「迷う」を2つに割ってください。

分け方中身次にやること
① 残す持ち帰る物・使い続ける物その日のうちに車へ。家に戻さない
② 家族に聞く自分では決められないが、聞けば決まる写真を撮って、その場で家族へ送る
③ 時間を置く聞いても決まらない物。思い出の品の多く箱に入れて日付を書き、次回まで開けない
④ 手放す迷いのない物その日のうちに家から出す
この4分割がうまくいくコツ
  • ②は、その場でスマホから送ってしまう。「あとでまとめて聞く」は、ほぼ実行されません
  • ③の箱には必ず日付を書く。「いつ入れた箱か」が分かるだけで、次に開けたときの判断が軽くなります
  • ③の箱を増やしすぎない。目安は1部屋につき1箱。それ以上になったら、分け方ではなく判断のほうが止まっています
  • ④は、その日のうちに家の外に出す。家の中に置いておくと、翌日には②や③に戻ります
「決められない」は失敗ではありません。決められない物に置き場所を与えていないことが、手を止める原因です。③の箱は、「今日は決めない」と決めるための場所です。ここがあると、驚くほど手が動くようになります。

必ず止まる3つの場所と、その抜け方

1. 台所——食器と鍋

台所は、量が多いわりに判断が軽い場所です。ただし食器と鍋だけは別で、ここでほぼ全員が止まります。使えるうえに、家族の記憶がついているからです。

抜け方は決まっています。「よく使われていた物を数点だけ選んで、先に②か①へ移す」。全部を見比べてから決めようとすると、いつまでも終わりません。先に残す物を決めてしまえば、残りは一気に動きます。

2. 書類・郵便物の山

棚や引き出しから出てくる紙の束は、その場で中身を読み始めると必ず一日が終わります。

やり方は「読まずに1か所へ集める」です。中身の確認は、片付けとは別の作業として、日を分けてください。なお実家に届き続ける郵便物そのものの手当ては、片付けより先に済ませておくと後が楽になります(空き家になった実家の郵便物をどうするか)。

3. 押し入れの奥・天袋

最後に残るのがここです。ここだけは、一人で開けないほうがうまくいきます。重い物が入っていることが多く、脚立の上での作業になるためです。

日を決めて、2人以上で、午前中に取りかかってください。疲れた夕方に高い場所の作業をするのは、片付け以前の問題として避けたいところです。

片付けを始める前に、外側の3点を先に済ませておくと、途中で作業が止まりません。郵便物の手当て、合鍵が何本あって最後に誰が持つかの確認、そしてご近所と自治会への一言とくに片付けの日は車が停まり、人が出入りし、音も出ます。先に伝えてあるかどうかで、当日の気の使い方がまったく違います。

家族が一緒のときの進め方

人数が増えれば早く終わる、とは限りません。同じ物を全員で見て、全員で迷うという時間の使い方になりがちだからです。

複数人で動くときのコツ
  • 部屋を分ける。同じ部屋に全員で入らない。1人1部屋が基本です
  • 「聞く役」を1人決める。②の判断が要る物は、その人にまとめて集める。全員が全員に確認し始めると止まります
  • 手放す判断は、その物をよく知っている人に任せる。知らない人が迷っても、答えは出ません
  • 親御さんが同席されるときは、時間を短く区切る。ご本人にとっては、暮らしそのものを見直す時間になります。半日で切り上げる前提で組んでください
  • その日の終わりに、10分だけ集まって「次にやること」を1つだけ決める。長い相談はしないほうが続きます
意見が割れたら、その場で結論を出さないでください。③の箱に入れて日付を書き、次回に回す。片付けの現場で気持ちの整理まで求めると、片付けも家族の関係も、どちらもうまくいきません。物は逃げません。

よくある質問

まとまった時間が取れません。半日ずつでも進みますか?

進みます。むしろ半日ずつのほうが向いています。丸一日やると後半は判断が雑になり、あとで悔やむ決め方をしがちです。半日で切るときは、「今日はこの1部屋」と場所を決めて、その部屋を最後まで終わらせてください。複数の部屋を少しずつ触ると、どこも中途半端なまま次回を迎えます。

親がまだ住んでいます。今から始めてよいものでしょうか。

ご本人が了解されているなら、始められます。ただし順番は変わります。住んでいる家では、使っていない場所(物置・納戸・天袋・使っていない部屋)だけに限ってください。生活している場所に手を入れると、片付けではなく生活の変更になります。「使っていない場所から」であれば、たいてい抵抗なく進みます。

遠方で、月に一度しか行けません。何から手をつけるべきですか。

行ける回数が限られるほど、順番の効き目が大きくなります。1回目は、この記事の「最初の3時間」をそのまま実行して、家の全体を写真に撮り、作業の基地を作るところまでで終えてかまいません。2回目以降は「今日はこの部屋」と決めて行くと、往復のたびに確実に前へ進みます。行き当たりばったりで始めると、毎回同じ場所を触ることになりがちです。

量が多すぎて、自分たちだけでは無理だと感じています。

その判断は早いほうが得です。ただし相談する前に、玄関・廊下だけは自分たちで空けておいてください。通り道があるかどうかで、作業の段取りは大きく変わります。加えて、各部屋の写真があると、相談の話がとても早く進みます。「全部お任せ」か「重い物だけ」かで進め方も変わるので、どこまでを自分たちでやるかを先に決めておくと、話がまとまりやすくなります。

途中で止まってしまいました。どこから再開すればいいですか。

止まった場所からは再開しないでください。そこは「重い場所」なので、もう一度止まります。いったん玄関と廊下に戻って、通り道をもう一度空けるところから始めてください。手が動く場所から入り直すのが、いちばん早い戻り方です。加えて、③の箱を1つだけ開けて、中身を4分割し直すと、止まっていた理由がだいたい見えてきます。

本記事は、実家の片付けをどの順番で進めるかについて、当サイトが確認した時点の一般的な進め方を整理したものです(確認日:2026-08-04)。片付けで出た物の扱い方や出し方の決まりは、お住まいの市区町村・地域によって異なります 要確認。まとまった量になる場合は、集積所へ出す前に自治体の窓口でご確認ください。集合住宅の場合は、管理者・管理組合の定めも併せてご確認ください。ご家族に判断を委ねたほうがよい物、急いで決めないほうがよい物があります。迷う物は無理に決めず、時間を置いてからご家族で相談されることをおすすめします。

順番さえ決まれば、実家の片付けは動き出します。間取りや量を見て「どこから始めるか」を一緒に整理したい方は、いまの状況をお聞かせください。

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