やることは3つだけです。①いま何本あるかを数える ②出どころ別に分けて回収の要否を決める ③最後に誰が持つかを決める。この記事では、その順番と、立ち会いのときの受け渡し方、鍵を換えるかどうかの判断をまとめます。
なぜ鍵を先に整理するのか
鍵は小さく、単体では大した問題に見えません。それでも先に手をつける価値があるのは、あとの作業のほぼ全部が「家を開けられること」を前提にしているからです。
1. 作業日のたびに人を待つことになる
片づけ、荷物の運び出し、現地の下見。どれも家を開けないと始まりません。鍵を1本しか把握していないと、その1本を持っている人の予定に、他の全員が合わせることになります。遠方の実家では、この待ち時間がそのまま帰省の回数に化けます。
2. 「誰が入れるか分からない」状態が長く続く
過去に渡した合鍵は、渡した側も受け取った側も忘れます。親御さんが元気なうちは問題になりませんが、誰も住まなくなった家では話が変わります。把握できていない鍵が何本あるかを知らないままだと、あとで戸締まりの確認をしても「これで安心」と言い切れません。
3. 引き渡しや契約の場面で、必ず本数を聞かれる
家を人に渡すとき、鍵は本数を数えて引き継ぐものです。その場になってから探し始めると、まず間に合いません。本数の把握は、早くやるほど楽で、遅くやるほど大変になる作業です。
まず、合鍵が何本あるかを数える
いきなり回収しようとせず、「いま何本、どこにあるか」を書き出すところから始めます。回収するかどうかは、その後で決めれば十分です。
| 出どころ | ありがちな持ち主 | 把握のしやすさ |
|---|---|---|
| 家の中にある鍵 | 玄関の鍵かけ・引き出し・仏壇まわり・親御さんのかばん | 探せば見つかる |
| 家族が持っている鍵 | きょうだい・その配偶者・独立した子ども | 聞けば分かる |
| 親族が持っている鍵 | 近くに住むおじ・おば・いとこ | 聞かないと分からない |
| 近隣の方が持っている鍵 | 「留守のとき用に」と長年預けている隣家 | 本人も忘れていることがある |
| 事業者が持っている鍵 | 見守りや管理を頼んでいた先、通っていた事業者 | 契約書や領収書から追う |
下の2つ——近隣の方と事業者——が、いちばん抜けます。「家の中を探して、きょうだいに聞いた」で終わりにすると、たいてい数が合いません。
鍵を探すときに見る場所
- 玄関の内側の鍵かけ・下駄箱の上。まずここ
- 台所の引き出し。輪ゴムでまとめられていることが多い場所です
- 寝室のたんすの引き出し・小箱
- 使っていないかばん・財布の中。ここが最も見落とされます
- 車の中・車のキーホルダー
- 物置・勝手口の周辺。屋外に隠してあることがあります
どの鍵がどこの鍵か分からないとき
まとめて出てきた鍵は、どれが玄関でどれが勝手口か分からなくなっていることがほとんどです。現地で1本ずつ試して、その場でラベルを貼ってしまうのが確実です。持ち帰ってから考えると、次の帰省でまた同じことをします。
- 1本ずつ試して、開く場所を確かめる(玄関・勝手口・物置・門扉・雨戸)
- マスキングテープなどに場所を書いて巻く
- どれにも合わない鍵は「不明」として分けておく。捨てずに残します
- 本数と内訳をメモか写真で残す。共有できる形にしておくと、あとで全員が同じ情報を見られます
出どころ別に「回収する・しない」を決める
全部を回収する必要はありません。むしろ、当面は預けたままのほうが助かる相手もいます。判断は「その人に、これからも開けてもらう場面があるか」で決まります。
- 作業に関わる家族の鍵……そのまま持っていてよい。むしろ複数人が開けられるほうが段取りは楽になります
- 関わらない親族の鍵……当面はそのままでもよいが、「何本あるか」は把握しておく
- 近隣の方の鍵……すぐ回収せず、まず状況を伝える。長年見守ってくださっていた場合、いきなり返却を求めると関係を損ねます
- 事業者の鍵……契約が終わっているなら回収する。続いているなら、いつまで預けるかを決めておきます
- 出どころ不明の鍵……回収も何もできないため、「鍵を換えるかどうか」の判断材料にします(後述)
立ち会いの日の受け渡し
片づけや現地作業の日は、複数の人が出入りします。ここで鍵の扱いを決めておかないと、「最後に誰が閉めたか分からない」という一日の終わり方になります。
- 当日の「鍵の担当」を1人決める。作業の主担当と同じ人でかまいません
- 朝、開ける人と本数を確認する。誰が何本持って現地に来たかを、口頭で合わせるだけで十分です
- 作業中は開けたままにせず、出入り口を決める。複数の扉を開け放つと、最後の確認が倍になります
- 作業が終わったら、担当者が全部の戸締まりを1人で回る。分担してはいけません。「誰かが閉めたはず」が抜けの原因です
- 最後に本数を数え直す。朝と同じ本数が手元にあるかを確認します
- 持ち帰る人を決めて解散する。その場で決めれば1秒で済み、あとで探すと1週間かかります
最後に誰が持つかを決める
ここが、この記事でいちばん先送りされやすい部分です。「とりあえず今日は自分が持って帰る」を繰り返している間は、決まっていません。
- 「実家にいちばん近い人」ではなく「連絡がつきやすい人」に。近くても捕まらない人が持つと、結局そこで止まります
- 1本は必ず予備として、別の人が持つ。1人に集約すると、その人が動けない日に誰も入れなくなります
- 誰が何本持っているかを、関係者全員が知っている状態にする。メッセージに残しておくだけで十分です
- 置き場所も決める。「持っている」だけでは、その人の家の中で行方不明になります
鍵そのものを換えるかどうか
出どころ不明の鍵があったり、本数が合わなかったりしたときに検討します。ただし、必ず換えなければならないものではありません。
- 数えた本数と、把握している本数が合わない
- 屋外に鍵を隠す習慣があった
- 過去に鍵をなくしたことがある
- 誰に渡したか、どうしても思い出せない鍵がある
- 本数が把握できていて、持ち主も全員分かっている
- 近いうちに家を人に渡す予定がある(渡す側で扱いが決まることがあります 要確認)
- 短期間で片づけが終わる見通しが立っている
交換を頼む場合の作業内容や必要な時間は、鍵の種類や扉の構造によって変わります 要確認。金額も一律ではないため、現物を見てもらったうえで確認してください。依頼先を選ぶときの考え方は実家じまいの業者の選び方が参考になります。
よくある質問
近所の方に預けている鍵は、返してもらったほうがいいですか?
急ぐ必要はありません。長年預かってくださっている方は、実質的に見守りをしてくださっている相手です。まず「しばらく空き家になります」と状況を伝え、そのうえで、預かっていただくか返していただくかを相談するのが順番です。家を人に渡す段階になったら、そのときは必ず回収します。
親がまだ元気ですが、いま鍵を整理するのは早いでしょうか?
早くありません。むしろ、ご本人に聞ける今がいちばん正確に把握できる時期です。「誰かに預けていないか」「どこにしまってあるか」は、本人以外には分かりません。整理は、鍵を取り上げることではありません。本数を把握してメモに残すだけでも、十分に意味があります。
鍵が1本も見つかりません。どうすればいいですか?
まず、家族・親族・近隣の方に順に確認します。それでも出てこない場合は、扉を開ける作業自体を専門の事業者に依頼することになります。その際は家の持ち主であることを示せる書類や、身分証を求められるのが通常です 要確認。依頼する前に、何が必要かを電話で確認しておくと二度手間になりません。
片づけを頼んだ事業者に鍵を預けても大丈夫ですか?
作業のために預けること自体はよくあります。ただし「いつ渡していつ返してもらうか」を、書面かメッセージで残してください。口頭だけだと、作業が長引いたときに誰が持っているか分からなくなります。作業の最終日に返却してもらう、と決めておくのが分かりやすい方法です。
「誰が開けられるか」がはっきりすると、実家じまいの段取りは一気に組みやすくなります。どこから手をつけるか迷ったら、いまの状況をお聞かせください。
ご状況をうかがって、進め方と費用の目安をお伝えします。
