やることは多く見えますが、郵便物は「転送する」「送り先そのものを変える」「止める」の3つに分けると一気に片づきます。この記事では、その3分類と、帰省1回で終わらせる順番、そして転送では届かないものを整理します。
なぜ郵便物を先に手当てするのか
家財の片づけや売却の検討より先に、郵便物を処理しておく理由は3つあります。どれも、後回しにするほど取り返しがつきにくくなるものです。
1. 外から留守だと分かってしまう
ポストからはみ出した郵便物は、誰でも道から確認できる情報です。家の中がどれだけ片づいていても、ここが放置されていれば留守だと分かります。管理が行き届かない状態が続いた空き家に何が起きるかは管理不全の空き家に起きることにまとめています。
2. 期限のある通知を見落とす
役所や事業者からの通知には、返信や支払いの期限が決まっているものがあります。届いていること自体に気づかないと、その期限だけが過ぎていきます。あふれた郵便受けの中から後で探すのは、現実にはとても難しい作業です。
3. 個人情報が外に出た状態になる
郵便物には氏名・住所・取引先が書かれています。ポストに入りきらず、地面に落ちている状態は望ましくありません。片づけを始める前に、まずこの流れを止めておきます。
全体像:転送する・送り先を変える・止める
郵便受けに入るものを、送り主の性質で3つに分けます。この分け方を先にやると、どこに連絡すればいいかが自動的に決まります。
| 分類 | 何が当てはまるか | どこへ手続きするか | 費用 |
|---|---|---|---|
| ①転送する | 差出人が多すぎて個別に連絡できないもの全般。当面の受け皿 | 郵便局(転居届) | 無料 |
| ②送り先を変える | 金融機関・カード・公共料金・携帯・自治体からの通知など、これからも続く付き合い | 各社・各窓口へ個別に | 無料 |
| ③止める | 新聞・カタログ・ダイレクトメール・チラシなど、もう不要なもの | 販売店・差出人・投函業者へ | 無料 |
順番も、この番号どおりでかまいません。①はまとめて全部を受け止められるので最初に打つ手として強く、②③は時間をかけて順に減らしていく作業だからです。
①転送する——郵便局の転居届
郵便局には転居・転送サービスがあります。届け出ると、旧住所あての郵便物を新しい住所へ無料で転送してもらえます。実家じまいでは、実家あての郵便物を、実際に管理している人(子世帯など)の住所へ向ける使い方になります。
- 費用は無料
- 転送される期間は、届け出た日から1年間。期間が終わっても、あらためて届け出れば継続できます
- 申し込みは郵便局の窓口/郵便ポストへの投函/インターネットから選べます。窓口では本人確認書類などを求められます 要確認
- 反映までに数日かかります。帰省の当日に出して、その日から効くものではありません
誰が届け出られるか
転居届は、実際に住まいを変える本人か、その同居のご家族が出すものです。親御さんがご存命で、施設への入居や同居のために実家を出る場合は、ご本人の意思を確認したうえで進めるのが原則です。
親御さんがすでにお亡くなりになっている場合、転居届による転送は本来の使い方ではありません。この場合は郵便局の窓口で扱いを確認してください 要確認。名義にかかわる手続きと一緒に進むことになるため、全体の順番は実家の名義変更の手順を先にご覧ください。
転送しても届かないもの
ここが見落とされやすい部分です。転居届を出したから全部安心、とはなりません。
- 「転送不要」と書かれた郵便物。金融機関からの重要な書類などに使われる指定で、転送されず差出人へ返されます。=②の送り先変更をやらないと、永久に受け取れません
- 宅配便。宅配各社の荷物は郵便局の転居届とは別の仕組みです。各社で別途手続きが必要です
- ポストに直接入れられるチラシ・投げ込み広告。そもそも郵便として送られていないため、転送のしようがありません(→③で対応)
②送り先そのものを変える
これから先も届き続けるものは、送り先を変えてしまえば転送に頼らなくて済みます。一度に全部はできないので、届いた郵便物を見ながら順に潰していくのが現実的です。
- 金融機関(通帳・キャッシュカードの届出住所)
- クレジットカード会社
- 電気・ガス・水道(契約を続ける場合。止める場合は空き家になった実家の片付け手順とあわせて)
- 携帯電話・インターネット回線
- 市区町村からの各種通知(送付先の指定ができる場合があります 要確認)
- 火災保険などの継続中の契約
手続きには本人確認や書類が必要になることが多く、親御さんご本人でないと動かせない場面が出てきます。だから、できるならご本人が元気なうちに、一緒に進めておくのがいちばん楽です。
③止める——DM・カタログ・新聞
量としていちばん多いのが、この分類です。ここを止めないと、ポストは片づいた翌週にはまた埋まります。
- 新聞・牛乳などの定期購読:販売店へ連絡して解約。集金の訪問がある契約は、止め忘れると近所トラブルの種になります
- カタログ・会員誌:発行元に送付停止を申し出る。冊子の奥付や封筒の裏に連絡先があります
- ダイレクトメール:差出人ごとに停止を依頼。数が多いときは、届いたものから順にで十分です
- 投げ込みチラシ:郵便受けに「チラシ・広告のお断り」の表示をする。完全には止まりませんが、量は目に見えて減ります
帰省1回で終わらせる順番
- 帰省の前に、転居届を出しておく。反映に数日かかるので、現地作業の日から効いている状態を作ります
- 着いたら、まず郵便受けを全部空にする。中身は捨てずに袋へまとめます
- その場で3つに仕分ける。「これからも来る契約もの」「もう不要なDM・チラシ」「期限がありそうな通知」。期限があるものだけ、その場で開けて日付を確認します
- 契約もののリストを作る。差出人の名前を書き出すだけで、②でやることの一覧になります
- 郵便受けに「チラシお断り」の表示をつける。その場で終わる作業です
- 持ち帰って、②と③を自宅から順に片づける。電話とインターネットでできる作業なので、実家にいる必要はありません
- 1年後、転送の期限が来る前に再届出を判断する。カレンダーに入れておきます
郵便受けそのものの手当て
郵便物の流れを止めても、郵便受け自体が無防備なら、投げ込みチラシで同じ状態に戻ります。あわせて手を打っておきます。
- 施錠できる郵便受けなら、鍵をかける。ダイヤル錠が付いていることもあります
- 「チラシ・広告のお断り」を表示する
- 近所の方に一言伝えておく。「しばらく空き家になります。何かあればご連絡ください」。これが最も効く見守りになります
- 定期的に見に行けないなら、管理を頼める先を検討する。空き家の見回りを扱う事業者があります。依頼先の選び方は実家じまいの業者の選び方の考え方が使えます
よくある質問
転居届を出すと、実家には一切郵便物が届かなくなりますか?
いいえ。「転送不要」と指定された郵便物や、郵便以外の投げ込みチラシは実家に残ります。転送はあくまで受け皿で、完全に止まるわけではありません。数か月に一度は郵便受けを確認できる状態にしておくと安心です。
実家を売る予定です。それでも転送の手続きは必要ですか?
必要です。むしろ売却が決まっている家ほど先に手当てしてください。引き渡し後は郵便受けを開けられなくなるため、それまでに送り先を変え終えていないと、届いた郵便物を受け取る手段がなくなります。売却までの流れは実家を売却するまでの流れで確認できます。
兄弟のうち、誰の住所に転送するのがよいですか?
「いちばん実家に近い人」ではなく、「届いたものを開けて、必要な連絡ができる人」に向けるのが実務的です。届く場所と、動く人が違うと、そこで止まります。決め方でつまずいたときは親や兄弟と話を進めるときの考え方もあわせてご覧ください。
もう何年も放置していて、郵便受けがあふれています。何から手をつけますか?
まず全部回収して、期限が書かれているものだけを先に開けてください。差出人が役所や事業者のものを優先します。全部を分類しようとすると必ず止まるので、「期限があるもの」と「それ以外」の2つに分けるだけで十分です。そのうえで転居届を出し、以降の流れを自分の手元へ向けます。
郵便物が自分の手元に届くようになると、実家じまいは一気に進めやすくなります。何から手をつけるべきか迷ったら、状況をお聞かせください。
ご状況をうかがって、進め方と費用の目安をお伝えします。
