実家の片付けでつまずくのは、業者選びより先に「日程」です。片付けの日は、業者の空いている日から決めるものではありません。明け渡し日・引き渡し日・鍵を返す日から逆算して決めます。
そして、依頼が集中しやすい時期があります。そこにぶつかると、選べる業者が減り、比べる時間もなくなります。「安いところを選べなかった」の原因は、たいてい価格ではなく日程の側にあります。
まず「動かせない日」を1つ決める
片付けの日程を相談するとき、最初に聞かれるのは「いつまでに終わらせたいですか」です。ここで「なるべく早く」と答えると、話が前に進みません。逆算の起点になる日が決まっていないからです。
起点になるのは、たいてい次のどれか1つです。
- 賃貸の明け渡し日(親が借りていた家なら、ここが最も硬い期限)
- 売却の引き渡し日(買主に鍵を渡す日。家財が残っていると引き渡せません)
- 解体工事の着工日(家ごと解す場合。中身を先に空にする必要があります)
- 家族が集まれる日(遠方に住んでいる場合、実質これが期限になります)
この4つは性格がまったく違います。前の3つは動かすと費用が発生する日で、最後の1つは動かしても費用は出ないが調整が難しい日です。どれを起点にするかを家族の間で先に一致させておくと、その後の相談が一度で済みます。
起点が決まらないまま複数社に声をかけると、条件のそろわない見積もりが集まります。「作業日が違う見積もり」は金額が違って当たり前で、比べても意味がありません。
依頼が集中しやすい時期
片付け・遺品整理を扱う業者は、年間を通して均等に忙しいわけではありません。依頼が集まりやすいのは、次の3つの時期です。
| 時期 | 集中する理由 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 2月〜4月 | 年度末。転勤・進学の引越しと重なり、トラックと作業員が引越し側に流れる | 希望日が埋まる。土日はとくに取りにくい |
| 11月〜12月 | 年内に片づけたいという依頼が集まる。年末年始は自治体のごみ収集も止まる | 年内最終の作業日が早めに締まる |
| GW・お盆・年末年始 | 遠方の家族が帰省して現地に集まれる期間に、依頼が数日へ集中する | 連休のうち作業できる日が限られる |
逆に、比較的動かしやすいのは1月中旬〜2月上旬、5月中旬〜7月、9月〜10月です。ただし地域差・業者差があります。地元の業者に「今からだと何日先の枠になりますか」と1件聞けば、その地域の実勢が分かります。
「繁忙期は料金が上がる」と決めつけないでください。上がるのではなく、安い枠から先に埋まることのほうが多くあります。結果として残った枠だけを見て「高い」と感じる、という順序です。
下見から作業日までに、どれくらい空くか
問い合わせたその日に作業してもらえる、ということはまずありません。あいだに入る工程があるためです。
- 問い合わせ・状況の共有(間取り、荷物の量、階数、道路の幅、エレベーターの有無)
- 下見(訪問での見積もり)— 実際に家の中を見てもらう。ここで金額と作業人数・トラックの台数が決まります
- 内容のすり合わせ— 残すもの、探してほしいもの、供養に回すものを伝える
- 作業日— 家財の搬出。量によっては2日に分かれます
- 精算・引き渡し
混んでいない時期でも、下見から作業日までは1〜2週間ほど空くのが普通です。繁忙期はここが3週間〜1か月に伸びることがあります。つまり明け渡し日の1か月前に動き出しても、比べる余裕はあまりありません。2か月前に1件目の下見を入れておくと、相見積もりを取る時間が確保できます。
あわせて、家の中の量を自分で把握しておくと下見が早く進みます。何を持って行くかは実家の片付けに、何を持って行くか|初日に必ず足りなくなる道具と資材に、どの部屋から手をつけるかは実家の片付けは、どこから手をつければいいのかにまとめています。
立ち会いが要る場面・要らない場面
遠方に住んでいる場合、「何回帰省すればいいのか」が日程の最大の制約になります。全工程に立ち会う必要はありません。
- 立ち会ったほうがよい:下見(家の中を一緒に見ながら残すものを指定する)、作業初日の開始時、精算・鍵の受け渡し
- 立ち会わなくても進むことが多い:搬出作業そのもの、2日目以降の作業
- 判断が要る:現金・通帳・貴金属・写真など「出てきたら止めてほしいもの」の扱い。これは事前に伝えておけば、その場にいなくても仕分けてもらえます
出てきたものの扱いは、着手前に家族で決めておいたほうがあとで揉めません。売れるものの扱いは実家の片付けで出たものを売るなら、誰に頼むのかを先に読んでおくと、下見のときに聞くことが決まります。
日程を決める順番(5ステップ)
- 動かせない日を1つ決める(明け渡し・引き渡し・着工・家族が集まれる日のどれか)
- そこから2か月前を「相談を始める日」に置く(繁忙期にかかるなら3か月前)
- 下見を2〜3社入れる。同じ日に続けて入れてよい(同じ状態の家を見てもらうと、見積もりが比べられます)
- 自治体のごみ収集・粗大ごみの受付状況を確認する。自分で出す分があるなら、受付から収集までに日数がかかる地域があります。自治体と業者のどちらに出すべきかで分け方を整理しています
- 電気・水道は、作業が終わるまで止めない。照明が点かない家、水が出ない家は作業効率が落ちます。止める順番は最後です
仏壇や神棚がある場合は、寺社側の都合も日程に入ります。閉眼供養の日は先方の予定次第で、こちらの希望どおりにならないことがあります。片付けの日程より先に相談しておくのが安全です。
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急いでいます。1週間後に作業してもらえますか?
空きがあれば可能なことはあります。ただし比べる時間はなくなります。1社しか下見に来られなければ、その金額が高いか安いかを判断する材料がありません。急ぐ場合は、金額よりも「作業範囲がどこまで含まれるか」を書面で確認することを優先してください。
土日しか休みが取れません。土日に頼めますか?
受けている業者は多くありますが、土日は最も早く埋まります。平日に1日休みを取れるなら、選択肢と価格の両方で有利になります。どうしても土日なら、通常より前倒しで枠を押さえてください。
作業は1日で終わりますか?
荷物の量と、家の前にトラックを停められるかで変わります。道路が狭く、離れた場所からの運び出しになる家は日数が伸びます。下見のときに「何名・何台で、何日を見込んでいるか」を聞いておくと、日程を組み直さずに済みます。
まだ売るか残すか決まっていません。先に片付けてもいいですか?
先に片付けても問題はありませんが、売却するなら残しておいたほうがよいもの(設備や備品)が家によってあります。決まっていない段階なら、下見のときにその点を伝えて相談してください。
本記事は実家じまいナビ編集部が、一般に公開されている情報と実務上の手順をもとに作成しています。料金・受付状況・自治体のごみ収集の運用は地域と時期によって異なります。ご依頼の前に、必ず各業者・各自治体の最新情報をご確認ください。
「うちの場合、いつから動けばいいのか」が判断できないときは、状況を教えてください。
実家の場所、明け渡しや引き渡しの予定、家族が集まれる時期をうかがったうえで、逆算した進め方をご案内します。
ご状況をうかがって、進め方と費用の目安をお伝えします。
