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実家の着物は、たんす一棹分あっても値が付くのはごく一部です|出す前に分ける4つと、量の数え方

公開日:2026年9月16日カテゴリ:未分類監修:田中駿一(遺品整理士)
実家の片付けで、押入れやたんすから着物が出てきて手が止まるのは、よくあることです。
止まる理由は「もったいないから」だけではありません。枚数が多く、一枚が重く、しかも自分では良し悪しが分からない――この3つが同時に来るからです。
結論を先に書きます。着物は「数える」「4つに分ける」「まとめて一度だけ見てもらう」の順で進めてください。一枚ずつ良し悪しを考え始めると、その日のうちに終わりません。

なぜ着物で手が止まるのか

衣類や布団は、量は多くても「着るか、着ないか」で分けられます。着物はそこが効きません。もう誰も着ないと分かっていても、捨てる判断がつかないからです。

  • 一枚あたりが重い。たとう紙に包まれた状態で積むと、10枚ほどで持ち上がらない重さになります
  • 枚数が読めない。たんすの引き出しを開けるまで何枚あるか分からず、見積もりの前提が崩れます
  • 良し悪しが自分では分からない。絹か化学繊維か、仕立ての格が何か、素人には見分けが付きません
  • 親の思い入れが強い。嫁入りのときに持たされたもの、子どもの祝いに作ったものが混ざっています

だから「一枚ずつ考える」をやめるのが最初の一歩です。分け方さえ決まっていれば、判断は後からまとめてできます。

まず数える:棹と枚数

着物の量は、枚数ではなく「たんす何棹分か」で伝わります。片付けを頼む相手にも、見てもらう相手にも、この単位が通じます。

  1. たんすを開けて、引き出しの数を数える……桐のたんすは引き出しが深く、1段に5〜10枚入っていることがあります
  2. たとう紙の枚数を数える……1包み1枚が基本です。包みの数を数えれば、おおよその枚数が出ます
  3. 帯と小物は別に数える……帯は着物と扱いが違います。まとめて「着物」と伝えると話がずれます
  4. 押入れ・天袋・別の部屋も見る……着物はたんすの中だけにあるとは限りません
押入れや天袋には、たんすに入りきらなかった分が箱で置かれていることがよくあります。先に開けておかないと、たんすの分だけで見積もりを取ってしまい、後から出てきます。押入れと天袋の開け方は 実家の押入れと天袋は、最後に回すと詰みます|先に開ける理由と、出てくるものの型 にまとめています。

4つに分ける

一枚ずつ良し悪しを考えるのではなく、4つの山に積んでいきます。中身を開いて確かめる必要はありません。たとう紙に書かれている表書きと、開けたときの見た目だけで十分です。

山入るものこの山をどうするか
① 礼装・よそ行き留袖・訪問着・振袖・色無地・喪服など、たとう紙に表書きがあるものまとめて一度、見てもらう山。値が付く見込みがあるのは、ほぼここです
② 普段着の和装ウール・化学繊維の着物、羽織、ふだん着ていたもの量が出る山。値は付きにくく、出し方を決める対象になります
③ 傷みのあるもの虫に食われた・カビの跡がある・大きなシミがある・黄ばんでいるもの見てもらう山から外します。混ぜると、山全体の扱いが下がります
④ 帯・小物帯、帯締め、帯揚げ、草履、バッグ、和装用の下着、反物(仕立てていない布)着物と別に数える山。帯と反物は、着物と値の付き方が違います

迷ったものは①に入れてください。見てもらう山が少し増えるだけで、手間はほとんど変わりません。逆に、②や③に入れてしまったものは、そのまま出てしまいます。

喪服は、①に入れつつ「別の包み」にしておくと親切です。数が多く出ることがあり、扱いも他の礼装とは分かれます。家族が今後使う可能性があるかどうかも、この段階で一度だけ聞いておいてください。

値が付くもの・付かないもの

着物は、枚数が多いことと、値が付くことが結び付きません。分かれ目になりやすいのは次の点です。

見るところ付きやすい側付きにくい側
素材絹ウール・化学繊維
状態シミ・虫食い・においがない黄ばみ・カビの跡・虫食いがある
寸法身丈・裄が長めのもの小さく仕立てられているもの
付いている紙・印証紙・落款・産地の名が分かる紙が残っている何も残っていない
種類訪問着・色無地・振袖・上等な帯喪服・普段着の和装は数が多く出るため付きにくい
  • 証紙は、たとう紙の中や、たんすの引き出しの隅に一緒に入っていることがあります。着物だけ出して紙を捨てないでください
  • 寸法は、昔の人の背丈に合わせて小さく仕立てられていることが多いものです。これは直しようがなく、値が付きにくい理由のひとつになります
  • においは、開けた瞬間に分かります。長く閉め切った部屋のたんすは、中身よりも先ににおいで判断されることがあります

大事なのは、「値が付くかどうか」を家族で議論しないことです。①の山をまとめて一度見てもらえば、その場で分かります。見てもらう前に何日も悩むのが、いちばん時間を取られます。

出し方は4つ

出し方向いている山費用のかかり方気をつけること
① 買い取ってもらう①礼装・よそ行き/④の上等な帯値が付けば持ち出しなし出張で見に来るかどうか、量が少ないと来ないことがあります
② 片付け業者にまとめて頼む②普段着/③傷みのあるもの作業全体の見積もりに含まれる量を「たんす何棹分」で先に伝える
③ 自治体のごみとして出す③傷みのあるもの区分ごとの手数料布の区分はお住まいの自治体で異なります
④ 譲る・引き取り先を探す②普段着で状態のよいもの送る手配しだい受け取る相手と、送る手段まで決めてから約束する
①と②を、別々の日に呼ぶ必要はありません。片付け業者のなかには、値の付くものを見る担当を一緒に連れてくるところがあります。「着物がたんす2棹分あります」と先に伝えておけば、段取りを組んでもらえます。誰に何を頼むかの分かれ方は 実家の片付けで出たものを売るなら、誰に頼むのか|片付け業者・買取業者・リサイクルショップの違いと、頼む順番 にまとめています。

③に出すときは、布の区分を先に調べてください。自治体によって、衣類としてまとめて出せるところと、量が多いと持ち込みになるところがあります。自治体と業者の分かれ目は 実家の片付けで出たごみは、自治体と業者のどちらに出すべきか|量と期限で決まります を参照してください。

見てもらう前に伝えること

電話やメールの段階でここまで伝えておくと、来てもらえるかどうかがその場で決まります。

  • たんすが何棹あるかと、おおよその枚数
  • 礼装がどれくらい含まれていそうか(たとう紙の表書きで分かる範囲で構いません)
  • 帯・小物・反物が別にあるか
  • 証紙や落款の紙が残っているか
  • 家に人が入れる日と時間帯
  • たんすそのものをどうしたいか(中身だけか、家具ごとか)
「着物が少しあります」だけで連絡すると、来てもらえないことがあります。逆に、棹の数と枚数の目安を言えると、見に来る価値があるかどうかを相手が判断できます。数えるのに30分かかっても、その30分がいちばん効きます。

たんす本体は、中身と別の話です。桐のたんすは大きく重く、運び出しの経路で引っかかることがあります。中身を出す日と、家具を出す日を同じにするかどうかも、見積もりのときに決めてください。

進める順番

  1. たんす・押入れ・天袋を全部開けて、量を数える……棹の数と、たとう紙の包みの数
  2. 4つの山に分ける……迷ったものは①へ
  3. 証紙・落款の紙を探して、着物と一緒にしておく
  4. 家族に、残したいものがないか一度だけ聞く……喪服と、祝いのときの一枚は聞かれることが多いものです
  5. ①の山をまとめて一度、見てもらう
  6. 残った②③の出し方を決める……片付け業者の見積もりに入れるか、自治体に出すか
  7. たんす本体の出し方を決める

4番を飛ばさないでください。先に全部出してしまってから「あれはどこへ行ったのか」と言われるのが、着物でいちばん残りやすいわだかまりです。聞くのは一度で構いません。着物以外の衣類と布団の分け方は 実家の片付けで、いちばん量が出るのは衣類と布団です|分け方と、出す順番 にまとめています。

よくある失敗

  • 一枚ずつ広げて確かめた。畳み直せなくなり、その日は着物だけで終わった
  • 証紙の紙を、ごみとして先に捨てた。産地が分からなくなった
  • 傷みのあるものを、良いものと同じ山に混ぜた。まとめての扱いになった
  • 「着物が少しあります」と伝えた。実際はたんす2棹分で、その日は運びきれなかった
  • 家族に聞かずに全部出した。後になって「あの一枚は残したかった」と言われた
  • 帯と小物を数えていなかった。着物の話だけで進み、帯が最後に残った

よくある質問

虫に食われた着物でも、見てもらう価値はありますか。

穴の場所と大きさによります。ただし、見てもらう山(①)に混ぜるのはおすすめしません。傷みのあるものが混ざると、山全体をまとめた扱いにされることがあります。③の山として分けたうえで、「傷みのあるものも別にあります」と一言添えて、見るかどうかを相手に決めてもらってください。

喪服がたくさん出てきました。どうするのがよいですか。

まず、家族の誰かが今後使う予定があるかを一度だけ確かめてください。そのうえで、残らないものは①の山に入れつつ、別の包みにしておくと扱いがはっきりします。喪服は数が多く出るため値が付きにくい一方で、状態がよいものは引き取り先が見つかることもあります。扱いは依頼先によって異なるため、まとめて聞いてみてください。

仕立てていない反物が出てきました。着物と一緒でいいですか。

④の山に入れて、別に数えてください。反物は、仕立てた着物とは扱いも値の付き方も違います。包み紙や証紙が付いていることが多いので、はがさずそのままにしておいてください。「反物が何本あります」と数を伝えると、話が早くなります。

遠方に住んでいて、実家に何日も通えません。

数えることと、4つに分けることだけを、行ける日にまとめて済ませてください。そこまで終わっていれば、あとの出し方は電話とメールで決められます。写真を撮っておくと、離れていても相談ができます。たんす全体・引き出しを開けた状態・たとう紙の表書き・証紙の紙、この4種類があれば足ります。

親がまだ元気で、実家に住んでいます。着物に手を付けてよいものでしょうか。

本人がいるうちに数えておくのが、いちばん後で助かります。どれが誰のもので、どういう由来のものかを説明できるのは本人だけだからです。処分を決めるのではなく、「どれくらいあるかを一緒に数える」から始めてください。数え終えた紙が1枚あるだけで、後の段取りがまるで変わります。

この記事は、実家じまいの現場で起きやすい衣類・和装品の段取りのつまずきをもとに、実家じまいナビ編集部が構成しました。布類のごみの区分や手数料はお住まいの自治体によって異なります。着物や帯の買い取りの可否・出張の条件・値の付き方は依頼先の事業者によって異なり、同じ品でも判断が分かれることがあります。実際に進めるにあたっては、お住まいの自治体の案内および依頼先の事業者にご確認ください。

たんす何棹分の着物をどう出すか、片付け全体とあわせて決めたい場合は ご相談の窓口 からお気軽にお問い合わせください。

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