扉を閉めれば見えなくなり、中身が分からず、脚立がないと届かない。だから「あとでまとめてやろう」となります。
ところが、ここを最後に回すとほぼ確実に作業が止まります。理由は単純で、押入れと天袋は家の中でいちばん収納量が大きく、しかも中身の判断に時間がかかるものが集中しているからです。
この記事では、なぜ先に開けるべきか、出てくるものの型、開ける手順と必要なものを整理します。
なぜ最後に回すと詰むのか
理由は3つあります。どれも「量」ではなく「時間」の問題です。
- 収納量が想定の2〜3倍あることが多い。押入れは奥行きがあり、手前と奥で入っているものが違います。手前を出して「これくらいか」と思った量の後ろに、もう1列あります
- 中身の判断に時間がかかるものが集中している。写真、手紙、書類、記念品。捨てるかどうかを1点ずつ決めなければならないものが、ここに固まっています
- 出したものを置く場所が要る。押入れを空にすると、その中身が部屋の床を埋めます。部屋を先に片付けてしまっていると、置き場所がありません
押入れと天袋は、「片付けの最後の場所」ではなく「量を把握するために最初に開ける場所」だと考えてください。
先に開けておけば、全体の作業量が読めます。1日で終わるのか、もう一度帰省が要るのか、業者を頼むのか。この判断は、押入れを開けるまでできません。片付けにかかる人数と日数の考え方は 実家の片付けを効率よく進めるコツ にまとめています。
押入れと天袋から出てくる6つの型
家によって中身は違いますが、型はだいたい同じです。先に知っておくと、当日の判断が速くなります。
| 型 | よく出てくるもの | 判断のしかた |
|---|---|---|
| ①寝具 | 来客用の布団、毛布、座布団 | 量が多く、かさばる。先に決めると床が空く |
| ②季節もの | 扇風機、こたつ布団、ひな人形、こいのぼり | 使う人がいなければ処分へ |
| ③衣類 | 喪服、着物、コート、詰めたままの衣装ケース | 点数が多く、ここで時間を取られやすい |
| ④紙もの | アルバム、手紙、年賀状、取扱説明書、書類の箱 | その場で判断しない。後述の「保留」へ |
| ⑤思い出のもの | 子どもの作品、卒業アルバム、記念品、賞状 | 家族に確認が要るもの。持ち帰り候補 |
| ⑥用途不明の箱 | ガムテープで閉じられた段ボール、紙袋の中身 | 必ず開ける。中身不明のまま処分しない |
天袋は、押入れとは中身が違います
天袋(押入れの上の戸棚)は、押入れの続きではありません。入っているものの性格がはっきり違います。
- 「使わないが捨てられないもの」が集まっている。手が届かない場所なので、日常的に出し入れするものは入りません
- 年代が古い。押入れの中身が10〜20年ものだとすれば、天袋は30年以上動いていないことがあります
- 軽くてかさばるものが多い。空き箱、包装紙、紙袋、旅行かばん
- まれに、重要なものが「しまい込まれて」いる。権利に関わる書類、通帳、印鑑、記念品
そして一人で作業しないでください。高いところの作業は、下で支える人がいるかどうかで安全性が変わります。
通帳・印鑑・現金のような貴重品が出てきた場合の扱いは 実家の鍵は誰が持っている? にも通じる話で、「誰が保管するか」をその場で決めて、家族に共有するのが原則です。
開ける手順
- 床を空ける。押入れの前に、出したものを置く場所を作ります。畳2枚ぶんあれば作業が進みます
- 写真を撮る。開けた直後の状態を1枚。業者に見積もりを頼むときに、この1枚が効きます
- 下段 → 上段 → 天袋の順に出す。上から出すと、下に落として危険です
- 全部出す。中を見ながら選別しないでください。いったん全部出したほうが速く終わります
- 後述の3つの箱に分ける。この時点では細かく分けません
- 空になった押入れの内部を確認する。底板の下に収納がある家、奥に別の空間がある家があります
必要なもの
- 脚立(天袋には必須。椅子で代用しない)
- 懐中電灯かスマートフォンのライト(押入れの奥と天袋は暗い)
- マスク(長く閉じていた場所はほこりが出ます)
- 軍手(古い段ボールで手を切ります)
- 大きめのごみ袋と、段ボール3箱以上
- 養生テープと油性ペン(箱に中身と行き先を書く)
片付け全体で用意しておくものは 実家の片付けで用意しておく道具 にまとめました。
判断で止まらないための3つの箱
押入れの中身は、その場で「捨てる/残す」を決めようとすると必ず止まります。特に紙ものと思い出のものです。
箱は3つだけ用意してください。
| 箱 | 入れるもの | その後 |
|---|---|---|
| ①処分 | 迷わず不要と分かるもの | その日のうちに出す |
| ②持ち帰り | 自分の判断で持って帰るもの | 車に積める量かを確認 |
| ③保留 | 迷ったもの・家族に聞くもの | 1箱までと決める |
それでも手が止まるのは、たいてい写真とアルバムです。ここは無理に当日決めなくて構いません。「保留の箱に入れて、次回に回す」ことを最初から予定に入れておくほうが現実的です。片付けが進まないときの考え方は 実家が片付けられないとき にまとめています。
値が付くものが混じっていることがあります
押入れと天袋からは、着物、贈答品、古い道具、未使用の食器などが出てくることがあります。すべてに値が付くわけではありませんが、まとめて捨てる前に一度見てもらうという選択はあります(実家じまいで出た不用品の買取/片付け業者・買取業者・リサイクルショップの違い)。
布団と衣類は、量で決まります
押入れの中身のうち、体積のほとんどを占めるのが寝具と衣類です。ここの出し方は 実家の衣類と布団をどう処分するか に、自治体と業者のどちらに出すかは 実家の片付けで出たごみは、自治体と業者のどちらに出すべきか にまとめました。
よくある質問
押入れだけで1日かかりますか
押入れ1間(幅約180cm)で、出すだけなら1〜2時間、分けるところまで含めると半日を見ておくと安全です。ただし紙ものと思い出のものが多い家では、これでは終わりません。「終わらない前提で、まず全部出す」のが、いちばん時間を無駄にしない進め方です。
親が存命で、勝手に開けていいか迷います
開ける前に必ず本人に伝えてください。押入れと天袋は、本人にとって「見られたくないものをしまう場所」でもあります。黙って開けると、その後の片付け全体に協力してもらえなくなることがあります。進め方は 実家の片付けはどこから手をつけるか を参考にしてください。
天袋の中身を見ずに、業者にまとめて頼めますか
頼めますが、先に一度は中を見てください。通帳や印鑑、証書のようなものが入っていることがあります。見てから頼めば、あとで探し直す手間がありません。業者の日程の押さえ方は 片付け業者の日程はいつ押さえるか にまとめています。
実家が遠く、何度も行けません
初回の帰省で、押入れと天袋だけは全部開けてください。中身を全部処理する必要はありません。「量が分かる」ことが目的です。量が分かれば、次の帰省で何日必要か、業者を呼ぶかを、帰ってから決められます。
においやカビが気になります
長く閉じていた押入れは、開けた直後にほこりが立ちます。窓を開け、マスクを着けてから作業してください。換気しながら進めるのが基本です。湿気の強い家では、布団や衣類が使える状態でないことがあります。
まとめ
- 押入れと天袋は最後ではなく最初に開ける。全体の作業量は、ここを開けないと分かりません
- 収納量は想定の2〜3倍。手前の奥に、もう1列あります
- 天袋は押入れと中身が違う。30年動いていないものと、しまい込まれた貴重品が出ます
- 脚立を使い、一人で作業しない。下を空けてから上に手をつける
- いったん全部出す。覗きながらの選別は3倍の時間がかかります
- 箱は3つ。保留は1箱までと決めると、判断が進みます
- 閉じられた段ボールは必ず開ける。中身不明のまま処分しない
実家じまい全体の進め方や費用の考え方について迷っている場合は、ご相談の窓口からお気軽にお問い合わせください。
ご状況をうかがって、進め方と費用の目安をお伝えします。
