中身の衣類は袋に詰めれば運べます。しかしタンスそのものは、重さと大きさで家から出ないことがあります。とくに2階の寝室に置かれた婚礼タンスは、入れたときの経路が、いまも通れるとは限りません。
結論を先に書きます。タンスは「中身を全部出す」「値段が付くかを聞く」「出口までの経路を測る」の3つを、捨て方を決める前に済ませてください。この順番を飛ばすと、当日になって運び出せないか、売れたはずのものを処分費を払って捨てることになります。
なぜタンスで止まるのか
タンスは、家の中の大物のなかでもとくに動かしにくい条件がそろっています。
- 重い。無垢材や桐の和箪笥、婚礼タンスは、空にしても1人では持ち上がりません
- 大きい。背の高いものは、階段の曲がり角や天井の低い廊下で引っかかります
- 置いてから家が変わっている。建具の交換や手すりの取り付け、間仕切りの追加で、運び込んだときの経路がふさがっていることがあります
- 何本もある。婚礼タンスは洋服タンス・整理タンス・和タンスの組み合わせで置かれていることが多く、1本と思って見積もると本数で外れます
片付け全体の順番は 実家の片付けは、どこから手をつければいいのか|部屋の順番と、最初の3時間でやること にまとめていますが、タンスは「中身」と「本体」を別の日の作業として考えてください。中身は早く、本体は最後です。
最初に、中身を全部出す
本体の出し方を考える前に、引き出しを1段ずつ全部抜いてください。理由は2つあります。
- 重さが変わる……引き出しを抜くだけで、本体はかなり軽くなります。業者に頼む場合も、中身が残ったタンスは運べないのが前提です
- 引き出しの奥から、紙が出てくる……封筒、手帳、権利関係の書類、写真。引き出しの奥や底板の裏、天板の上にしまわれていることがあります。抜いた引き出しの裏と、抜いたあとの本体の内側まで見てください
値段が付くもの・付かないもの
「立派なタンスだから売れるはず」は、いまの中古の取引とずれていることが多いのが実際です。分かれ目は、立派さではなくいまの住まいに置けるかどうかです。
| 種類 | 値段の付き方 | 見てもらう前に確認すること |
|---|---|---|
| 量産の婚礼タンス(洋服・整理・和の組み合わせ) | 付きにくい。大きく重く、いまの住宅に入らないことが多いためです | 本数とサイズ。値段より「引き取ってもらえるか」が論点になります |
| 桐箪笥 | 状態と作りで分かれます。削り直して使う需要があり、見てもらう価値があります | 産地や作り手の表示、金具がそろっているか、割れ・反りの有無 |
| 古い和箪笥・民芸の箪笥 | 付くことがあります。小ぶりなもの、金具に特徴があるものは見てもらう価値があります | 正面・側面・金具・裏板の写真 |
| 組み立て式の家具・カラーボックス | ほぼ付きません。分解して粗大ごみに出すほうが早いものです | ねじで分解できるか |
判断は、写真を撮って聞けば済みます。運び出してから聞く必要はありません。正面・側面・金具・裏板・引き出しの内側の5枚があれば、たいていの業者はその場で「見に行く価値があるか」を答えられます。誰に聞くかの違いは 実家の片付けで出たものを売るなら、誰に頼むのか|片付け業者・買取業者・リサイクルショップの違いと、頼む順番 を、売る前の考え方は 実家じまいの不用品は「捨てる」前に「売る」 を参照してください。
出し方は4つ
| 出し方 | 家から出すのは誰か | 費用のかかり方 | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| ① 自治体の粗大ごみ | 自分たち(指定の場所まで) | 品目ごとの手数料 | 本数が少なく、1階にあり、運べる人手があるとき |
| ② 片付け業者にまとめて頼む | 業者 | 作業全体の見積もりに含まれる。階・本数・経路で変わる | 2階にある・本数が多い・遠方で通えないとき |
| ③ 買取・引き取りに出す | 業者(多くは引き取りに来る) | 値段が付けば手元に入る。付かなければ運搬費がかかることも | 桐箪笥・和箪笥など、値段が付く見込みがあるとき |
| ④ 親族や知人に譲る | 受け取る側と相談 | 運搬の手配しだい | 使いたい人がいて、運ぶ手段まで決まっているとき |
見積もりの前に測る場所
業者に見積もりを頼むときに、いちばん聞かれるのがここです。先に測っておくと、見積もりが速く、当日の追加も減ります。
- タンスの高さ・幅・奥行き(本数ぶん)
- 置いてある階と、階段の幅・曲がり角の有無
- 部屋の出入口と廊下の幅、途中にある手すりや段差
- 上下に分かれるか(重ね箪笥は上下で分かれることが多い)
- 家の前に車を止められるか
階段を通らない場合、窓から吊り下ろすなどの作業が必要になり、追加の費用がかかることがあります。これは当日に分かると日程ごと組み直しになるため、見積もりの段階で「このタンスは階段を通りますか」と聞いてください。測るときに要る道具は 実家の片付けに、何を持って行くか|初日に必ず足りなくなる道具と資材 にあります。
進める順番
- 引き出しを全部抜いて、中身を出す……奥・底板の裏・天板の上まで見る
- 値段が付きそうなものは写真で聞く……桐・和箪笥・金具に特徴のあるもの
- 上下に分かれるか、引き出しが外れるかを確かめる
- 寸法と経路を測る……本数・階・階段・廊下・車
- 出口を決める……粗大ごみ/業者/買取/譲渡
- 日程を決める……タンスは最後に出す。先に出すと、残りの荷物を運ぶ通路に置き場がなくなります
業者に頼む日程の決め方は 実家の片付けを業者に頼む日程は、いつ決めるのか|混みやすい時期と、明け渡し日から逆算する順番 にまとめています。
よくある失敗
- 中身を残したまま見積もりを頼んだ。当日「空にしてください」と言われ、作業が止まった
- 引き出しの奥を見ずに出した。あとから書類が1通足りないことに気づいた
- 1本と伝えたら、実際は3本の組み合わせだった。見積もりが組み直しになった
- 階段を通らなかった。当日に吊り下ろしの作業が追加になった
- 「立派だから」と残しておいた。値段が付かず、結局は処分費を払って出した
よくある質問
タンスは自分で解体して、燃えるごみに出せますか。
自治体によって扱いが違います。一定の大きさ以下に切れば通常のごみとして出せるところもありますが、無垢材や金具の多いタンスを家庭の道具で解体するのは重い作業で、けがのもとになります。出し方はお住まいの自治体の案内でご確認ください。
婚礼タンスは、本当に値段が付かないのですか。
付きにくいのが実際ですが、付かないと決めつける必要もありません。写真を撮って聞けば、見に行く価値があるかどうかはすぐ分かります。聞くのは無料で済むことが多いので、処分を決める前に一度聞いておくと後悔が残りません。
親が「タンスだけは残したい」と言っています。
残すなら、どこに置くかを先に決めてください。実家を手放す場合、タンスは次の置き場所が決まらないと動かせません。引き取る人の家に入るかどうかを、寸法で確かめてから約束するほうが揉めません。話の進め方は 実家の片付けが進むコツは6つ にもまとめています。
押入れにしまい込まれた小さな箪笥もあります。
押入れや天袋の中のものは、先に開けておくほうが後の段取りが楽になります。小ぶりの箪笥や箱は、値段が付くものが混ざっていることもあります(実家の押入れと天袋は、最後に回すと詰みます)。
タンスのような大物を、業者に頼むか自分たちで出すかで迷っている場合は ご相談の窓口 からお気軽にお問い合わせください。
ご状況をうかがって、進め方と費用の目安をお伝えします。
