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業者の選び方

実家じまいで、業者に頼めない作業はどれか|家族でしか決められない5つ

公開日:2026年9月5日カテゴリ:業者の選び方監修:田中駿一(遺品整理士)
実家じまいの記事の多くは、「どう頼むか」「いくらかかるか」「どの業者を選ぶか」を扱っています。
けれど実際に進めてみると、詰まるのは頼み方ではありません。頼んだのに終わらない部分です。
片付け業者は、運ぶ・分ける・捨てる・売るを引き受けてくれます。しかし「何を残すか」を決めることはできません。そして、契約者本人でないとできない手続きもあります。
この記事では、頼める作業と頼めない作業を線引きしたうえで、頼めない側をどう進めるかを整理します。

まず、線を引く

片付け業者に頼めることと、頼めないことは、はっきり分かれています。

頼める頼めない(家族の作業)
もの運び出す、分ける、捨てる、値が付くものを買い取る何を残すかを決める
家清掃、草刈り、定期的な見回り家をどうするかを決める
手続き作業に伴う届け出(業者側の範囲)契約者本人の手続き
人―本人の同意、家族の合意、近隣への連絡
表の右側は、お金で解決できません。だから、ここが実家じまいの実際の律速になります。
そして厄介なことに、右側は「作業」に見えないため、予定に入れ忘れます。「土日で片付ける」と決めたスケジュールに、話し合いの時間が入っていない。これがいちばん多い詰まり方です。

①何を残すかの判断

業者は「これは要りますか」と聞いてはくれますが、答えを出すことはできません。

そして、判断が必要なものは点数が多いのが実際です。写真、手紙、子どもの作品、賞状、記念品、食器、着物。1点ずつ止まると、作業が進みません。

  • 作業日より前に、判断を済ませておく。業者が来ている時間に迷うと、そのぶん費用が伸びます
  • 「保留」の箱を1箱だけ作る。上限を決めないと、全部が保留になります
  • 写真とアルバムは、当日決めなくてよいと最初から決めておく。ここで止まるのが分かっているなら、予定に組み込む

判断が進まないときの考え方は 実家が片付けられないとき、値が付くかどうかの見分けは 実家じまいで出た不用品の買取 にまとめています。

②本人の同意

親御さんが存命で、家がまだ使われている場合、これが最初の関門です。

ここを飛ばして業者を手配すると、当日に「聞いていない」となって作業が止まります。そして一度こじれると、次の帰省でも話が進みません。

順番は「片付けの話」より前に「これからどうしたいか」の話です。ものの話から入ると、たいてい反対されます。「捨てる」という言葉を使わずに始めるほうが、話が進みます。
片付けを嫌がられたときの進め方は 実家の片付けはどこから手をつけるか を参考にしてください。

親御さんが施設へ移るタイミングで進める場合の段取りは 親が施設に入るとき、実家をどうするか にまとめました。

③契約者本人でないとできない手続き

ここは業者の問題ではなく、制度の問題です。誰が契約者かで、できる人が決まります。

手続き誰がするか備考
電気・ガス・水道の停止契約者本人、または委任を受けた家族止める順番に注意
固定電話・インターネットの解約契約者本人本人確認が必要なことが多い
新聞・定期購読の停止契約者本人止め忘れが最も多い項目
郵便物の転送本人または同居の家族届出が要ります
水道を最初に止めないでください。片付けや清掃で水を使う場面があり、止めてしまうと作業ができなくなります。電気も、照明とコンセントが使えないと作業が進みません。止める順番の考え方は 空き家の水道はどうするか にまとめています。

郵便物の扱いは 空き家に届く郵便物をどうするか を参考にしてください。止めずに放置すると、郵便受けがあふれて空き家だと分かります。

④家族のあいだの合意

兄弟姉妹がいる場合、ここが最も時間のかかる部分です。そして業者はまったく関与できません。

  • 「誰が動くか」を決める。近くに住んでいる人が全部やる形になりがちで、あとから不満が出ます
  • 「何を残すか」を、作業前に共有する。捨てたあとで「あれはどこ」となると、修復できません
  • 費用をどう分けるかを、見積もりを取る前に話しておく
  • 写真を撮って共有する。離れて住んでいる家族には、これがいちばん伝わります
「捨ててよいか」を一人ずつ聞くと、必ず止まります。先に「この日にこれを処分します。要るものがあれば◯日までに言ってください」という形にすると進みます。期限を切るのは冷たいのではなく、決められない状態を終わらせるためです。

夫婦のどちらかの実家である場合、関わり方が難しくなることがあります(夫の実家の片付けにどこまで関わるか)。

⑤近隣・自治会への連絡

これも業者はしません。そして、しておかないと後で効いてきます。

  • 作業日の前に、両隣と向かいへ一声かける。トラックが停まり、大きな音が出ます
  • 自治会に入っている場合、退会や班の扱いを伝える
  • 空き家として残す場合、連絡先を伝えておく。台風や雪のあと、最初に気づくのは近所の方です

何をどう伝えるかは 実家じまいを近所と自治会にどう伝えるか にまとめました。家を残す場合の管理は 空き家管理代行はどこまでやってくれるか、庭の手入れは 空き家の庭と草刈り を参考にしてください。

頼めない側を、先に片付ける

実家じまいの段取りは、この順にすると詰まりません。

  1. 本人の同意(②)と、家族の合意(④)を取る。ここが済むまで業者に連絡しない
  2. 鍵が何本あって誰が持っているかを整理する(実家の鍵は誰が持っている?)
  3. 押入れ・天袋を開けて、量を把握する
  4. 何を残すかを決める(①)。作業日より前に
  5. 業者の見積もりを取り、日程を押さえる(片付け業者の日程はいつ押さえるか)
  6. 近隣に伝える(⑤)
  7. 作業当日
  8. 手続きを止める(③)。水道と電気は最後
1〜4が、業者に頼めない部分です。ここを飛ばして5から始めると、見積もりの前提が固まらず、当日に判断が発生し、費用が伸びます。
逆に言えば、1〜4さえ済んでいれば、あとは頼めます。

よくある質問

丸ごと全部お任せ、はできませんか

ものを運び出して家を空にする、という意味では可能です。ただし「何を残すか」を誰も決めていない状態で頼むと、残すべきものまで出ます。最低限、持ち帰るものだけは先に抜いておいてください。

遠方で、何度も帰れません。優先順位は

1回目の帰省で②④(同意と合意)と、押入れ・天袋を開けることまで。この2つが済んでいれば、以降は写真と電話で進められます。逆に、ここが済まないまま作業だけ進めると、必ず戻ります。

親が亡くなったあとで、同意を取る相手がいません

その場合、②は不要になり、④(家族のあいだの合意)が重くなります。関係する家族全員に、作業日と処分するものを事前に共有してから進めてください。あとから「あれはどこ」となる事態を避けるのが目的です。相続人が複数いるとき、遺品は相続人全員の共有になります(民法第898条)。相続放棄を考えている人がいる場合は、処分の前に止まってください。相続財産を処分すると単純承認をしたものとみなされ、放棄ができなくなることがあります(民法第921条第1号)。

業者に「これは捨てていいですか」と聞かれて困ります

その場で答えられない状態が、そもそも準備不足のサインです。当日に判断が発生すると、作業が止まり、費用も伸びます。作業日の前に、保留の箱を作って分けておいてください。

手続きは、どこから手をつければいいですか

止め忘れが起きやすいのは、新聞・定期購読・インターネットです。金額は小さくても、止まらないまま引き落とされ続けます。水道と電気は最後、それ以外は早めに、と覚えておくと外しません。

掲載内容は当サイトが確認した時点のものです(確認日:2026-09-02)。手続きの方法・必要書類・費用は、自治体や事業者によって異なり、変更されることがあります。お手続きの前に、各窓口の公式の案内で最新の情報をご確認ください。

まとめ

  • 業者に頼めないのは5つ ── 何を残すかの判断/本人の同意/契約者本人の手続き/家族の合意/近隣への連絡
  • この5つはお金で解決できないため、実家じまいの実際の律速になります
  • 「作業」に見えないので、予定に入れ忘れやすい
  • 同意と合意が済むまで、業者に連絡しない。前提が固まっていない見積もりは意味がありません
  • 水道と電気は最後に止める。作業ができなくなります
  • 家族には「この日にこれを処分します」と期限つきで伝える

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